ソフィアさんちのチルちゃんと僕(12)~間逆の真実⑤~

 「ルンルンルン・・・」

「クーちゃん!お外を見てばかりいないで、ちゃんとお話を聞いてね。」

「僕、いい子だもん、お話はちゃんと聞いているよ。」

「じゃあ、日本の平均率とヨーロッパの平均率の違いはなあに?」

「う・う・う・・・日本の平均律は1オクターブを・・・ええ~と機械的に12等分したもので・・・う・う・う・・ヨーロッパの平均率は・・ウェル・テンぺ・・」

「はい、そうね。ヨーロッパの平均率はウェル・テンペラメントも含むのよね。」

「では、お話を続けますよ。」

《(ヨーロッパでは古典音律の一種であるウェル・テンペラメントを平均律の一種として調律している)が、 ウェル・テンペラメントを12等分平均律と同じものと間違えたのは、西洋と日本では少し様子が違う。

西洋ではヴェルクマイスターとナイトハルト(平均律理論の研究者)が平均律を開発し、大バッハがヴェルクマイスターの平均律理論に基づいて『平均律ピアノ曲集』を書いたと信じられていた。

フーゴー・リーマンやヘルムホルツなどの有力な学者が、原典を参照せずに言った言葉が、後世に悪影響を残したのである。(それが、多くの研究者が訂正を提案しても少しも崩れることのない虚構として存在し続けた)》

「たいへんだ!偉い先生が言ったことなら、間違ったことでも本当になるんだ。

もし、お医者さんの教科書に書かれている事が間違っていたら・・・こわ~いよ。偉い先生が書いた教科書を、そのまま信じ込んだお医者さんが・・・」

「そう、だから書物と経験が大切なの。どんな偉い先生でも人間なんですもの、疑問に思うことは常に確認する勇気をもつべきだと思うわ。」

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